オフィスセキュリティコーディネータとは?役割・必要スキル・キャリアパスについて徹底解説

防犯
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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オフィスの安全管理は、企業の持続的な成長にとって欠かせない要素です。特に近年、サイバー攻撃の増加や情報漏洩のリスクが高まっており、物理的な防犯対策だけでなく、デジタルセキュリティの強化も求められています。そこで重要な役割を担うのが、オフィスセキュリティコーディネータです。

オフィスセキュリティコーディネータは、オフィス環境の安全を確保し、企業の資産や情報を守る専門職です。入退室管理や監視カメラの設置、情報セキュリティ対策の導入など、幅広い業務を担当し、従業員のセキュリティ意識向上にも貢献します。本記事では、オフィスセキュリティコーディネータの役割や必要なスキル、キャリアパスについて詳しく解説します。

オフィスセキュリティコーディネータの重要性

オフィスセキュリティコーディネータとは、企業の安全管理を担う専門職であり、オフィスの物理的な防犯対策や情報セキュリティ対策を統括する役割を担っています。近年、企業のデジタル化が進むにつれ、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが高まっており、オフィスのセキュリティ対策の強化が求められています。

例えば、企業の従業員がリモートワークを行う機会が増えることで、社外からのアクセスを厳格に管理する必要が生じました。VPN(仮想プライベートネットワーク)やゼロトラストセキュリティの導入が進められており、オフィスだけでなく、リモート環境においても安全性を確保する取り組みが必要とされています。

また、企業のオフィス内では、機密情報を含むデバイスや書類が適切に管理されていない場合、盗難や情報漏洩のリスクが高まります。そのため、オフィスの入退室管理を厳格化し、不正侵入を防ぐ仕組みを導入する企業が増えています。

このように、オフィスセキュリティコーディネータは、企業の安全を守るために不可欠な存在であり、組織の健全な運営を支える役割を果たしています。


オフィスセキュリティコーディネータの主な業務内容

オフィスセキュリティコーディネータの業務は多岐にわたりますが、主に以下の4つのカテゴリに分類されます。

オフィスの物理的なセキュリティ対策

オフィスの物理的な安全を確保するために、以下のような施策が必要となります。

  • 入退室管理システムの導入
  • 監視カメラの設置と管理
  • 警備員や防犯設備の活用
  • 貴重品や機密書類の管理

企業によっては、オフィスビルのエントランスにセキュリティゲートを設け、社員証や生体認証を使用したアクセス管理を導入しています。また、夜間や休日のセキュリティを強化するために、警備員の巡回を実施するケースもあります。

情報セキュリティの管理

企業の機密情報や顧客データを保護するために、以下のような対策が求められます。

  • アクセス権限の設定と管理
  • データの暗号化とバックアップ管理
  • ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入
  • クラウド環境のセキュリティ強化

特に、企業のクラウド環境に保存されたデータが外部からの攻撃を受けるリスクがあるため、多要素認証(MFA)やゼロトラストセキュリティを導入する企業が増えています。例えば、ある企業では、機密データの取り扱いに関して、アクセスログの監視を強化し、不審な挙動が検知された際には即座に管理者へ通知が届くシステムを導入しました。

社員教育とセキュリティ意識の向上

オフィスのセキュリティ対策を強化する上で、社員一人ひとりの意識向上が欠かせません。そのため、企業では以下の取り組みを実施することが重要です。

  • 定期的なセキュリティ研修の実施
  • フィッシングメール対策の訓練
  • 機密情報の取り扱いに関するガイドラインの策定
  • 不審者への対応マニュアルの作成

例えば、ある企業では、従業員を対象に、実際の攻撃を想定したフィッシングメール訓練を実施し、対応力の向上を図りました。これにより、従業員のセキュリティ意識が高まり、不審なメールへの対応ミスが大幅に減少したと報告されています。

緊急時の対応計画と実施

災害やサイバー攻撃、盗難などの緊急事態に備えるために、以下のような対応策を講じます。

  • 避難訓練の実施と防災対策の強化
  • インシデント対応チームの設置
  • バックアップとデータ復旧計画の策定
  • 緊急時の連絡体制の確立

例えば、地震や火災などの災害発生時に備えて、企業内に防災用品を備蓄し、社員の避難経路を明確にする取り組みが行われています。また、サイバー攻撃の被害を最小限に抑えるために、事前に対応マニュアルを整備し、定期的なシミュレーションを実施することも重要です。


オフィスセキュリティコーディネータに求められるスキルと資格

求められるスキル

スキル説明
リスク管理能力企業のセキュリティリスクを評価し、適切な対策を講じる能力
ITセキュリティ知識ウイルス対策ソフトやVPNなどの技術知識
コミュニケーション能力社内外の関係者と円滑に協力できる能力
教育・指導スキル社員向けのセキュリティ研修を実施できる能力

推奨資格

資格名説明
情報セキュリティマネジメント試験(SG)ITセキュリティの基礎知識を証明する資格
CISSP国際的な情報セキュリティ資格
防犯設備士物理的なセキュリティ対策の専門知識を有する資格

オフィスセキュリティコーディネータのキャリアパス

オフィスセキュリティコーディネータとしての経験を積むことで、以下のようなキャリアアップが可能です。

  • セキュリティマネージャー)企業全体のセキュリティ戦略を管理
  • CISO(最高情報セキュリティ責任者))企業の情報セキュリティを統括

まとめ

オフィスセキュリティコーディネータは、企業の安全管理を統括し、物理的な防犯対策から情報セキュリティ、社員教育、緊急時対応まで幅広い業務を担います。オフィス環境の安全性を高めることは、企業の信頼向上や業務の円滑な運営にもつながります。

特に近年は、サイバーセキュリティの強化が求められており、クラウド環境の保護や多要素認証の導入など、ITに関する知識も不可欠です。オフィスセキュリティコーディネータとして活躍するためには、情報セキュリティマネジメント試験(SG)やCISSP、防犯設備士などの資格取得も推奨されます。

今後、企業のデジタル化が進むにつれ、オフィスセキュリティコーディネータの需要はさらに高まるでしょう。企業の安全を支える専門職として、適切な知識とスキルを身につけることが重要です。