オフィスセキュリティの比較で失敗しない選び方と導入のポイント

防犯
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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企業の情報漏えいや盗難、不審者の侵入といったリスクが増加しています。それに伴い、オフィスのセキュリティ対策への関心も高まってきました。オフィスセキュリティとは、施設内外への不正なアクセスや情報の持ち出しを防止するための施策を指します。物理的な鍵やカードリーダーに始まり、顔認証やスマートフォン連動のクラウド型システムなど多様化しています。

特に中小企業では、「どの程度のセキュリティ対策が必要か」「費用対効果が合うか」といった悩みを抱えがちです。セキュリティは「導入すれば安心」ではなく、目的や業務内容に応じた選定が不可欠です。導入後の管理負担や社員の利便性への影響も含め、バランスを取る必要があります。この記事では、各セキュリティ対策の比較から導入の注意点までを詳しく解説し、失敗しない選び方を提示します。


オフィスセキュリティ対策の主な種類

オフィスで導入されるセキュリティ対策には様々な種類があります。以下に代表的なものを示し、その特徴や適用例を整理します。

セキュリティ対策主な機能対象用途注意点
入退室管理システムカード、顔認証、指紋認証などで入室を制限執務室、サーバールーム等カード紛失時の対処が必要
監視カメラ(CCTV)映像で監視・記録受付、出入口、共有部死角を作らない配置が必須
物理セキュリティ鍵、ドアチェーン、金庫など書庫、保管室鍵管理の煩雑さがある
クラウド型セキュリティ遠隔管理・履歴閲覧小規模オフィスやフリーアドレス環境ネット障害時の利用不可リスク

それぞれの対策にはメリットだけでなく、使い方を誤るとデメリットもあります。たとえば、監視カメラは設置角度を誤ると「映らない死角」が生じます。これに対する対策としては、現地調査を行い、複数のカメラを補完的に配置することが有効です。


セキュリティサービスを比較する際のポイント

オフィスセキュリティの選定にあたっては、「導入費」「保守コスト」「機能性」「運用負担」などを多面的に比較する必要があります。以下の表に主な比較ポイントを整理しました。

比較項目評価基準チェックポイント
機能性入退室管理、履歴閲覧、自動ロックなどの有無必要な機能が揃っているか
導入コスト初期費用、機器費用、設置工事代など月額契約か買い切りか
ランニングコスト保守点検、ソフト更新、トラブル対応費用サポート内容の明示
運用負担管理画面の操作性、社員対応のしやすさ現場で混乱が起きないか

とくに注意したいのが、「高機能=高満足」ではないという点です。導入後に「使いにくい」「手間が増えた」と社員から不満が出るケースもあります。これを防ぐためには、試用期間の設定や、導入前の操作研修など、実運用を意識した準備が不可欠です。


セキュリティ導入時の失敗例と対策

導入したにも関わらず、満足度が低い例も少なくありません。以下はよくある失敗パターンとその対処法です。

失敗例問題点解決策
カードの紛失が多発運用に手間がかかり、セキュリティが甘くなるスマホ連動や顔認証に切替え
カメラの死角で盗難が発生配置計画不足カメラ配置を増やし、死角検知AIを併用
管理者しか履歴を確認できない柔軟な運用が難しい管理権限の階層化、UI改善
導入後の社員の反発監視されていると感じる説明会やアンケートによる納得形成

失敗の多くは「設計時の想定不足」「ユーザー視点の欠如」にあります。これを防ぐには、現場を巻き込みながら、利用シーンに即したシミュレーションを行うことが効果的です。


クラウド型とオンプレミス型の違いと選び方

近年はクラウド型のセキュリティシステムが主流になりつつあります。以下は2方式の比較です。

項目クラウド型オンプレミス型
初期費用安価高額
管理の柔軟性高い低い
障害対応インターネット依存自社対応が可能
セキュリティレベルベンダー依存自社で制御可能

クラウド型の利点は「どこからでもアクセス可能」「低コスト」である一方、「ネット障害時のリスク」が課題です。これには、バックアップ回線の導入やローカルアクセス可能なハイブリッド構成での導入が推奨されます。


まとめ「オフィスセキュリティ比較で押さえるべきポイント」

オフィスセキュリティを導入・強化する際は、「種類ごとの特徴理解」と「自社に最適な選択」が成功の鍵となります。以下にチェックリストとしてまとめます。

  • どのエリアに、どのレベルのセキュリティが必要か明確にする
  • 導入前に試用・デモを実施し、社員の意見を聞く
  • 障害時の対応策やバックアップ手段を用意する
  • コストだけでなく、運用のしやすさと柔軟性も重視する

導入後も定期的な見直しを行い、リスクの変化に対応していくことが、持続的な安心を生む要素となります。