警備士と警備員の違いとは?職務内容や資格制度、キャリアの違いまで徹底解説

警備員
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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「警備士」と「警備員」、似たように見える2つの職種ですが、その役割やスキル、キャリアパスには大きな違いがあります。本記事では、警備業界で働くことを考えている方や、転職・ステップアップを目指す方のために、警備士と警備員の違いをわかりやすく解説します。資格取得の要件から現場での役割、将来的な働き方まで、比較しながら丁寧にご紹介します。

警備士とは何か?警備員との違いの出発点

警備士という職業は、警備員とは明確に異なる位置づけを持ちます。警備士は、民間団体の認定制度により選抜される職務であり、現場の指導や警備計画の策定、教育担当としての責任も担う存在です。一方、警備員は主に実務を担い、現場の安全維持が役割です。両者は似たように思えますが、その根底にある業務の深さや責任範囲には大きな違いがあります。

特に注目すべきは、警備士は「安全の現場をつくる側」であり、警備員は「安全の現場を守る側」であるという点です。この違いにより、警備士は現場での判断だけでなく、組織内での調整力や法令理解、対外的対応力が求められます。また、クレーム処理やトラブル防止策の立案といった、裏方業務も多く存在します。これらをこなすには、高度な判断力と豊富な経験が欠かせません。


警備士になるには?必要な条件と実務経験

警備士として活躍するには、まず2年以上の実務経験が必要です。その上で、指定された講習や研修に参加し、審査に合格することで認定されます。研修内容には、法令遵守、緊急対応、個人情報保護などの基本知識に加え、指導力やマネジメントスキルを育てるカリキュラムが含まれています。

実技と座学の両方が重視されており、研修修了後も定期的に講習やフォローアップの教育を受ける必要があるため、学び続ける姿勢が重要です。警備士としての責任は、単なる現場業務に留まらず、安全意識を組織全体に浸透させる「文化の担い手」としての側面も強く、教育的リーダーとしての役割も求められます。

以下に、警備士になるまでのステップを表にまとめます。

ステップ内容
実務経験警備員として2年以上の勤務
必須研修・講習法令・安全・対応力・教育研修など20時間以上
審査筆記・面談・リーダー素養の確認
認定民間団体・所属企業より認定証を交付
継続的学習更新講習や現場フィードバックを通じたスキル維持

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警備員とは?一般的な業務とその範囲

警備員は、法律に基づく教育を受けたうえで、日々の警備実務を担当します。警備業法に則り、新任教育(20時間)および年2回以上の現任教育を受講することが義務づけられています。

彼らの主な業務は、以下のように多岐にわたります。

警備業務の種類主な内容
施設警備建物内外の巡回、出入管理、防犯カメラの監視
雑踏警備イベント会場や催事での群衆整理と誘導
交通誘導工事現場や駐車場における車両・歩行者の安全確保
貴重品運搬現金輸送車等を使用した警護付き輸送
身辺警護VIPや要人に対する直接的な警護活動

このように警備員は、安全の最前線で活躍しており、迅速な判断力と体力が求められます。


警備士と警備員の違いを表で比較

警備士と警備員には明確な違いがあります。以下の表は、両者の主な違いをわかりやすくまとめたものです。

比較項目警備士警備員
資格制度民間団体認定(任意資格)法定教育(新任・現任)必須
必要な経験2年以上の実務+研修+審査特別な経験不要
主な業務指導・教育・計画・マネジメントなど警備業務全般(実務中心)
社会的評価高く、リーダー的存在実務の担い手
キャリアアップ性昇進・講師・幹部候補など道が広い制度上の上限がある企業も多い

警備業界におけるキャリアパスの選択肢

警備員としての経験を積んだのち、警備士へのキャリアチェンジを図ることで、業務の幅が大きく広がります。警備士になれば、教育担当や本部配属など、より組織的な業務への関与が可能になります。

また、企業の安全部門や外部講師としての活躍も可能となり、より多角的なキャリアが描けます。以下は、キャリアパスの可能性を図にしたものです。

キャリア段階主な業務内容対象職位
入門(警備員)警備実務、監視、誘導、巡回一般警備員
中級(警備士)現場リーダー、指導、計画立案、クレーム対応班長、隊長
上級(幹部候補)教育責任者、講師、安全統括、クライアント対応警備部長、教育担当、管理職

このように、警備士は単なる「資格」ではなく、「未来をつくるポジション」としての意味合いを持ちます。


まとめ

警備士と警備員の違いは、現場の中だけではなく、将来のキャリア設計においても極めて重要な分岐点となります。警備員は現場の安全を守る実務の担い手であり、警備士はその体制をつくるリーダーです。将来的に安定した職を望むなら、警備士としての認定を受けることは非常に大きな意味を持ちます。

「どこで働くか」ではなく、「どのように働くか」を重視した職選びが求められる中、警備士という職種は、新たな選択肢の一つとなるでしょう。自身の可能性を広げたい、安全を提供するだけでなく、その仕組みを作る側になりたいと考える方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。