シャドーITって?対策についても解説

ウイルス対策
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

竹村 直浩をフォローする

テレワークの普及やクラウドサービスの進化により、社員が自由に業務ツールを導入できる時代になりました。その一方で、企業の情報管理を脅かす新たなリスクとして注目されているのが「シャドーIT」です。これは企業が把握していない端末やアプリ、クラウドサービスが業務に使われる現象で、情報漏洩やセキュリティ事故の原因となり得ます。この記事では、シャドーITの定義や具体例、潜むリスク、そして企業としての効果的な対策方法までをわかりやすく解説します。

シャドーITとは?基本的な意味と現状

シャドーITとは、企業の情報システム部門が把握・管理していないIT機器やソフトウェア、クラウドサービスが、業務において使用されることを指します。


シャドーITの具体例

種類具体的な例
デバイス私用スマートフォン・自宅のPC・USBメモリなど
クラウドサービス無許可のファイル共有(例:Dropbox、Google Drive)
アプリケーションチャットアプリ(例:LINE、Messenger)
拡張機能ブラウザアドオン・外部API

従業員が「便利だから」「すぐ使えるから」といった理由で、会社の承認なしに導入してしまうケースが多発しています。


なぜシャドーITが発生するのか?背景と要因

シャドーITが発生する要因には、従業員の利便性志向や、企業内システムの硬直化があります。以下に代表的な要因をまとめました。


発生要因内容
使いづらい社内ツール業務に必要な機能が不足している、動作が遅いなど
セキュリティ対策の強化ファイル転送や共有が制限され、業務が進まない
テレワークの浸透自宅端末や個人回線を使う場面が増えた
部署ごとの独自判断IT部門に相談せず導入されるアプリケーション

特にテレワークの定着によって、個人が自由に使える環境が増えたことが、シャドーITの急増を後押ししています。


シャドーITがもたらすリスクとは?

企業にとってシャドーITは、利便性向上と引き換えに大きなリスクを伴います。放置すると重大なインシデントに繋がる可能性もあります。


1. 情報漏洩のリスク

管理されていないアプリやデバイスに社外秘の情報が保存されたり、誤って第三者に共有されることで、機密情報が流出する恐れがあります。


2. マルウェア感染の可能性

非公式なアプリやWebサービスは、セキュリティが不十分なものも多く、ウイルスやスパイウェアの侵入経路となることがあります。


3. インシデント時の追跡困難

万が一問題が発生しても、企業が利用実態を把握していないため、ログの追跡や原因特定が難しく、初動対応が遅れる恐れがあります。


リスク内容想定される被害
機密情報の流出顧客信頼の失墜、取引停止など
セキュリティホールの発生システム全体への攻撃拡大
IT監査の不備法令違反、コンプライアンス違反

シャドーITの主な発見手段と対策方法

シャドーITを完全にゼロにすることは難しいですが、リスクを可視化し、対策を講じることで被害を最小限に抑えることができます。


1. ネットワーク監視の導入

社内ネットワークに接続されている機器や通信先を監視することで、未登録デバイスや異常なトラフィックを検知できます。


2. IT資産管理ツールの活用

すべての社用端末・アプリケーションを一元管理できるツールを導入することで、未承認機器の使用を即座に確認できます。


3. シャドーIT対策ポリシーの策定

「どのようなIT資産を使ってよいか」「承認の手続きはどうするか」といった明確なルールを社内に定め、従業員に徹底します。


4. 定期的な社内教育の実施

シャドーITがもたらすリスクを全社員に理解させ、無意識のうちに使用する行動を防ぐため、継続的なセキュリティ教育を行います。


対策項目内容
ネットワーク監視接続機器の可視化・異常検知
資産管理ツールアプリ・端末の統合管理
利用ポリシー使用可否の明文化と申請手順
社内教育意識改革と再発防止の徹底

まとめ

シャドーITは、従業員の利便性や業務効率を高める一方で、企業にとっては深刻なセキュリティリスクを伴う存在です。特にテレワークが浸透する現在では、企業が把握していないIT機器やサービスの利用は、情報漏洩・マルウェア感染・コンプライアンス違反など、さまざまな問題の火種となります。

そのため、シャドーITを「使わせない」だけでなく、「なぜ使いたくなるのか」を理解し、業務に必要なツールの柔軟な導入や、明確なルール設定、教育と監視を組み合わせたバランスの良い対策が求められます。企業全体でリスクを共有し、IT環境の可視化と健全化を図ることが、安心安全な業務運営の第一歩となるでしょう。