多層防御って?仕組みや必要性について解説

ウイルス対策
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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サイバー攻撃の手口は年々巧妙化しており、単一のセキュリティ対策だけでは企業の情報資産を守ることが難しくなっています。そこで注目されているのが「多層防御」です。多層防御は、複数のセキュリティ対策を組み合わせることで、攻撃の侵入を多段階で防ぐ仕組みです。本記事では、多層防御の仕組みや必要性、具体的な防御要素について詳しく解説します。

多層防御とは何か


一つでは守れない時代の防御戦略

多層防御とは、セキュリティ対策を複数の階層にわたって配置し、脅威が内部に侵入することを防ぐセキュリティ戦略です。たとえば、社外からの攻撃に対してはファイアウォールや侵入検知システム、社内ではアクセス制限やウイルス対策ソフトなど、それぞれの役割に応じた防御策を配置します。

複数の防御層を設けることで、万が一一つの防御が突破されたとしても、次の層で脅威を食い止められるのが最大の特徴です。


多層防御の仕組み


複数の防御階層による構成

多層防御は、以下のように主に5つの層で構成されます。

・ネットワーク層:外部との通信を制御するファイアウォールやIDS
・エンドポイント層:PCやスマートデバイスのウイルス対策
・アプリケーション層:Webアプリの脆弱性対策
・データ層:機密情報の暗号化やアクセス制限
・人的対策層:従業員の教育や操作ミス防止

以下の表は、多層防御の主要構成とその役割を整理したものです。

防御層具体的対策例
ネットワーク層ファイアウォール、IPS、VPN
エンドポイント層ウイルス対策ソフト、デバイス制御
アプリケーション層WAF、セキュリティパッチ適用
データ層暗号化、アクセス権管理
人的対策層セキュリティ研修、パスワード管理の徹底

このように、技術的な対策と人的な対策を組み合わせることが多層防御の基本です。


多層防御が求められる理由


攻撃の多様化と巧妙化への対応

近年のサイバー攻撃は、マルウェア、フィッシング、ゼロデイ攻撃など、多種多様な手口で企業システムを狙っています。従来型の対策だけでは対応しきれない場面が増えており、防御の網を細かく張る必要性が高まっています。

多層防御の導入が求められる背景

・ゼロデイ攻撃など未知の脆弱性への対応
・内部不正やヒューマンエラーの増加
・クラウドサービスやリモートワークの普及

このように、外部と内部両面のリスクを同時に防ぐには、多層防御による対策が不可欠なのです。


多層防御のメリットと注意点


メリット

・一つの防御が破られても他で防げる「安全網」になる
・攻撃の早期検知と対応が可能になる
・リスクを分散し、全体的なセキュリティ耐性が向上する

注意点

・すべての対策が機能していなければ逆に「穴」になる可能性がある
・導入・運用コストが増加する
・人員への教育と定期的な見直しが必要になる

これらを踏まえ、多層防御は「仕組みを作って終わり」ではなく、継続的な運用・改善が重要であると言えます。


まとめ


多層防御は、サイバー攻撃から企業の重要情報やシステムを守るための基本戦略です。単一の対策だけでは防げないリスクに対して、複数の防御手段を組み合わせることで、セキュリティの層を厚くし、侵入を段階的に防ぐ仕組みをつくります。

テクノロジーの進化とともに、攻撃手法も日々進化しています。その脅威に対応するには、定期的な点検とアップデート、そして従業員の意識改革も含めた包括的な多層防御の導入が求められています。