指紋認証と顔認証だとどっちがいい?メリットとデメリットを徹底解説

防犯
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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オフィスや施設のセキュリティ対策に欠かせない生体認証システム。その中でも「指紋認証」と「顔認証」は、導入の検討対象としてよく比較されます。本記事では、それぞれの認証方式の特徴、メリットとデメリット、導入時のポイントについて詳しく解説します。

生体認証とは?指紋と顔、何が違うのかを理解する

個人特性に基づく本人確認システムの基本

生体認証とは、人間の身体的特徴や行動的特徴を利用して本人確認を行う技術のことです。中でも指紋認証と顔認証は、広く普及している2大方式であり、それぞれ異なるセンサーとアルゴリズムによって認証を行います。

指紋認証は「静的な特徴」である指の紋様を利用し、顔認証は「画像と骨格情報」を解析して個人を特定します。どちらもIDやパスワードを不要とし、高いセキュリティ性を提供できる技術です。

 

指紋認証のメリットとデメリット

簡単かつ高精度な認証方式だが、読み取り条件に注意が必要

指紋認証は、小型センサーを用いたコンパクトな構造が特長で、低コストで導入しやすいのが魅力です。ドアロックやタイムカード端末など多様な用途で使われています。

 

【指紋認証のメリット】

  • 登録・認証が高速で、操作が直感的
  • ICカードのような紛失・貸与リスクがない
  • 高精度でなりすましが難しい

 

【指紋認証のデメリット】

  • 指が濡れていたり乾燥していると反応しにくい
  • 傷や手袋の着用時は認証不可
  • 物理的接触が必要なため衛生面の配慮が必要

 

 

顔認証のメリットとデメリット

非接触で高精度な認証だが、環境の影響を受けやすい

顔認証は、カメラで撮影した顔画像をもとに、輪郭や目鼻口の位置情報をアルゴリズムで解析して照合する技術です。非接触で認証が可能なため、衛生的で業務の効率化にも貢献します。

 

【顔認証のメリット】

  • 非接触のため衛生的で感染症対策にも効果的
  • 手がふさがっていても認証できる
  • 複数人の同時通過にも対応可能なシステムも存在

 

【顔認証のデメリット】

  • マスクや眼鏡、髪型の変化で認証エラーが起こることもある
  • カメラ設置位置や照明条件に左右される
  • システムの導入コストがやや高い

 

指紋認証と顔認証の比較表でわかる違い

以下に、両方式の特長を比較した表を示します。

項目指紋認証顔認証
接触の有無接触が必要非接触
衛生性やや劣る高い
精度・信頼性高い高いが環境条件に左右されやすい
利便性高い(操作は直感的)非接触で利便性も高い
初期導入コスト比較的低いやや高め
トラブルの要因指の乾燥・傷・汚れマスク・眼鏡・照明

それぞれに強みと弱点があるため、オフィスの利用環境やセキュリティレベルに応じて選択する必要があります。

 

どちらを選ぶべきか?シーン別の導入判断基準

使用環境と目的に応じた最適な選択を行うことが重要

指紋認証と顔認証のどちらを導入するべきかは、施設の使用目的や社員の動線、求めるセキュリティレベルによって異なります。以下に、シチュエーション別に適した認証方式を示します。

利用シーン推奨認証方式理由
衛生環境を重視する医療機関顔認証接触を避けられるため、感染症対策に有効
屋外工事現場など手が汚れる現場顔認証手袋や泥などの影響を受けずに認証が可能
オフィスの出入口管理指紋認証安価に導入でき、信頼性が高く、設置も簡単
高度なセキュリティが必要な施設顔認証+指紋認証二重認証でセキュリティ強化が可能

このように、双方の特性を活かしつつ、場面に応じた最適な組み合わせを選択することが効果的です。

 

導入時に確認したい共通の注意点とは?

社員の同意とプライバシー配慮、システムの保守が必要

どちらの生体認証を導入する場合でも、「個人情報の扱い」に関する配慮は不可欠です。顔情報や指紋データは重要な個人情報であり、事前の同意取得とデータ管理ルールの整備が求められます。

また、認証システムは電子機器である以上、故障や不具合が発生するリスクもあるため、代替手段や定期保守を含めた運用設計が重要です。

導入時の注意点を以下にまとめます。

注意点項目解説
個人情報保護利用目的の明示・同意取得・適切なデータ管理が必要
メンテナンス体制機器の定期点検・ソフト更新による精度維持が求められる
認証失敗時の対応別認証方式との併用や、緊急時の代替手段を用意しておくこと
管理者の運用ルール管理者がシステムを適切に運用・監視できる体制が必要

 

まとめ

指紋認証と顔認証は、それぞれに異なる強みと制限を持った優れた認証方式です。選定にあたっては、「どんな場面で使うのか」「誰が使うのか」「どんなセキュリティレベルが必要か」といった実務的な観点からの判断が重要です。

衛生面を重視するなら顔認証、確実性とコスト重視なら指紋認証、より高いセキュリティが必要なら両方の併用など、目的に合わせて柔軟に活用しましょう。

導入に際しては、社員との合意形成、データ管理、保守体制といった運用面の整備も忘れてはなりません。正しく導入・運用すれば、どちらの方式もオフィスセキュリティの強化に大きく貢献します。