オフィスや工場、研究施設など、セキュリティが求められる空間において、入退室管理は重要な課題です。その中でも、正規の認証者とともに無断で入室する「共連れ(テイルゲーティング)」は、重大な情報漏洩や事故のリスクを伴う問題です。この記事では、共連れを防ぐために導入すべき施策や、入退室管理システムで実現できる対策について詳しく解説します。
共連れとは何か?
共連れとは、認証を受けた正規の入室者の後ろに続いて、無断で施設内に侵入する行為を指します。英語では「テイルゲーティング(Tailgating)」と呼ばれ、物理的なセキュリティの盲点を突く代表的な侵入手口です。
項目 | 説明 |
---|---|
共連れの種類 | 故意・無意識・強要・便乗 |
よくある場面 | オフィスの自動ドア、共用エントランス、会員制施設など |
主なリスク | 情報漏洩、備品の持ち出し、不正アクセス、事故の発生など |
共連れは単純な行為であるものの、セキュリティ事故につながる危険性が高いため、確実な対策が求められます。
共連れ防止が重要な理由
共連れのリスクは施設の性質や取り扱う情報によって異なりますが、特に次のような施設では対策が必須です。
施設 | 影響 |
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金融機関 | 顧客情報の漏洩や不正送金 |
医療機関 | 患者データの不正閲覧 |
教育機関 | 試験問題の流出や生徒への接触 |
IT企業 | ソースコードや機密文書の窃取 |
いずれも共通しているのは、内部に許可されていない人が侵入することで生じる「損害の大きさ」です。
共連れ防止のための主な施策
二人同時通過の防止機構
物理的に一人しか通れない構造を設けることで、共連れを防止します。
施策例 | 内容 |
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スピードゲート | 一人分だけ開くゲートで通行者を制限 |
フラッパーゲート | 腰高までの開閉式バーで通過制御 |
回転式ゲート | 一人ずつしか通れない構造で侵入を抑制 |
このようなゲートは、高精度なセンサーと組み合わせることで、より強力な防止策となります。
入退室ログの記録・監視
システム上で誰がいつ入退室したかを記録し、異常を検知することで共連れの可能性を早期に発見できます。
対策項目 | 詳細 |
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入退室履歴管理 | 通過時刻・認証者ID・使用した出入口を記録 |
映像連動 | 監視カメラとログを連携し、不審者の特定を補助 |
通行頻度分析 | 通過の間隔や人数から異常パターンを検出 |
これにより、不審な動きやなりすましを可視化することが可能となります。
セキュリティポリシーの徹底
制度としての対策も重要です。物理的な仕組みに加えて、従業員教育や社内ルールの強化が不可欠です。
内容 | 実施例 |
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セキュリティ教育 | 共連れを許容しない意識の啓発、動画研修の実施 |
入退室マナー | 「あとに続かせない」「ドアを手で開けたままにしない」などの遵守 |
定期チェック | 管理者によるゲートの通行実態の確認と指導 |
意識改革と技術的対策を組み合わせることで、共連れは大幅に減少します。
最新の入退室管理システムでできること
最近の入退室管理システムでは、共連れ防止に特化した機能が充実しています。
システム機能 | 特徴 |
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生体認証連携 | 指紋・静脈・顔認証による本人確認の厳格化 |
AIカメラ連携 | 通過者の数と認証回数を照合し、不一致時に警報を発報 |
アラート通知 | 管理者へリアルタイムで異常検知の通報 |
ゲート自動閉鎖 | 非認証者が入ろうとした場合に自動でドアを閉じる仕組み |
これらの機能は、人為的ミスや無意識な共連れにも対応可能です。
まとめ
共連れは見落とされがちですが、重大なセキュリティ事故につながるリスクをはらんでいます。入退室管理システムを導入するだけでなく、物理的な設備の整備や従業員の意識改革を含めた多角的な対策が必要です。
共連れ防止は、組織の信用と安全を守るための最前線です。導入コストや運用負荷を超える価値があることを理解し、計画的な対策を講じていくことが求められます。