アンチパスバックのデメリットはある?共連れ対策も解説

防犯
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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セキュリティ強化のために導入される「アンチパスバック」は、入退室管理システムの中でも特に不正通行を防止する重要な機能です。一方で、誤作動や運用ミスによるトラブルも報告されており、運用には注意が必要です。本記事では、アンチパスバックの仕組みや共連れ対策としての効果、そしてそのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

アンチパスバックとは?

アンチパスバックとは、入退室の順序を管理し、不正な通行を防止する制御機能のことです。「入室の認証が完了していないと退室できない」「退室後、再度入室するには必ず一度退室認証を行う」など、通行履歴を連動させることで、不正利用や共連れを防ぎます。

項目内容
目的不正通行・共連れの防止
機能入室と退室の順序制限(例:入室後に退室しないと再入室不可)
使用場所オフィス、工場、データセンター、研究施設など

この機能により、1枚のICカードを複数人で使い回すような不正行為を防止できます。


アンチパスバックのメリット

アンチパスバックを導入することで得られる主なメリットは以下の通りです。

メリット項目内容
共連れ防止同じカードで複数人が通過することを防止
ログの正確性向上入退室の順序が記録され、通行履歴の整合性が取れる
セキュリティ強化不正通行の抑止力が高まることで、施設全体の安全性が向上
システム連携映像監視やアラートと連携してより高度な運用が可能

このように、物理的なセキュリティだけでは補えない「通行の正当性」をシステム的に保証する仕組みとして非常に効果的です。


アンチパスバックのデメリット

一方で、アンチパスバックの運用には以下のような注意点やデメリットも存在します。

デメリット項目内容
認証忘れによるロック退室時の認証を忘れると次回の入室ができなくなる
緊急時対応の困難さ災害時や停電時にシステムがロック状態になるリスク
運用負荷の増加利用者へのルール徹底が求められ、教育や運用負担が増加
一時通過者への対応清掃業者や来客など、一時的な入室者への適用が難しい

特に複数の出入口がある施設や、出入りが頻繁なエリアでは、設定ミスや運用トラブルの原因となりやすいため注意が必要です。


共連れ防止との関係性

アンチパスバックは、共連れ(テイルゲーティング)を防ぐための有効な手段のひとつです。共連れは、正規の通行者の後ろに無断で入室する行為であり、セキュリティリスクが高い行為です。

防止方法説明
アンチパスバック機能同じICカードでの連続通行をシステム的に無効化
監視カメラとの連携映像確認により不審者の通過を特定
通行制限ゲート1人ずつしか通過できない機構で物理的に制限

このように、複数の手段を組み合わせることで、共連れのリスクを大幅に低減できます。


導入時のポイントと運用の工夫

アンチパスバック機能を効果的に活用するには、導入前の設計と利用者の理解促進が重要です。

工夫ポイント内容
利用ルールの明文化退室時の認証を必ず行うように社内ルールを徹底
緊急対応の設計電源喪失や災害時に自動解錠できる仕組みを準備
一時通行者の識別特別なバッジやログ記録で管理体制を補完
管理者による監視アンチパスバックの履歴を定期確認し運用状態を把握

これにより、トラブルを未然に防ぎながら、システムの効果を最大化できます。


まとめ

アンチパスバックは、共連れを防止し入退室管理の整合性を保つ強力な仕組みです。適切に運用すれば高いセキュリティ効果を発揮しますが、運用ミスや緊急時の対応には注意が必要です。

システム導入時は、施設の利用形態や出入口の構造を考慮し、複合的なセキュリティ対策と併用することが重要です。信頼性の高い入退室管理を実現するために、アンチパスバックを上手に活用しましょう。