「盗聴って違法じゃないの?」「盗聴すると罪になる?」そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。実のところ、日本の法律には『盗聴罪』という犯罪は存在せず、盗聴行為そのものだけでは罰せられないことが大半です。しかし、盗聴につながる行動やその結果によっては、別の刑罰に問われる可能性があります。本記事では、どこからが違法で、どのようなケースで罪に問われるのかをわかりやすく解説します。
基本:盗聴行為そのものは違法ではない
現行の日本の法律では「盗聴罪」という犯罪は定められていません。つまり、人の会話を録音したり、盗聴器を設置して音声を傍受する行為だけでは、直接罰せられることはありません。
たとえば、自宅で自分の意思で、家族の話を録音する行為や、同席している会話を録音する行為は、法律上問題なく行うことができます。録音そのものが違法とされるわけではないのです。
罪に問われるケース:盗聴が引き金になる犯罪
盗聴行為の中でも、以下のような「付随行為」がある場合は、刑罰を受ける可能性があります。
行為の内容 | 法的に問われる可能性がある罪名 |
---|---|
他人の住居に無断で侵入した場合 | 住居侵入罪(最大で3年以下の懲役または10万円以下の罰金) |
他人の物を破損して設置した場合 | 器物損壊罪(最大で3年以下の懲役または30万円以下の罰金) |
固定電話に盗聴器を仕掛けた場合 | 有線電気通信法違反(最大1年以下の懲役または20万円以下の罰金) |
ストーカー目的で盗聴した場合 | ストーカー規制法違反(最大1年以下の懲役または100万円以下の罰金) |
盗み聞きした内容を使って脅迫した場合 | 脅迫罪または恐喝罪(脅迫:最大2年以下の懲役または30万円以下の罰金) |
たとえば、他人の部屋に侵入して盗聴器を仕掛けた場合は、住居侵入罪に問われることになります。さらに、器物を壊して設置した場合は同時に器物損壊罪にも問われる仕組みです。
録音そのものは合法でも……後の行動に注意
録音そのもの(たとえば電話や会話)の違法性はありません。そのため、自分の家や自分が所有する車内に盗聴器を設置すること自体は、法律上罰せられません。
しかし、その内容をもとに第三者に漏らしたり、脅迫・強要に使ったりすれば、それは明確な犯罪となります。また、盗聴器を設置する意図で他人の家に侵入すれば侵入犯罪へ移行します。
まとめ
- 盗聴罪は存在せず、盗聴行為自体は違法ではない。
- ただし、他人の住居への侵入や破壊、通信傍受など別の罪に問われるケースがある。
- 録音した内容を他人に漏らしたり恐喝に利用したりする行為は、別の犯罪となる。
盗聴を考える際には、「その方法や付随行為」こそが違法性の判断のポイントです。録音そのものではなく、どう利用するかが法的責任を左右しますので注意が必要です。