警備員に休憩時間はない?仮眠時間・待機時間の実態と注意点を徹底解説

警備員
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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警備の仕事は長時間にわたる勤務が多く、休憩や仮眠の取り方に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。実際、警備業務における「休憩」「仮眠」「待機」の時間は法的にどう扱われるのか、また実務ではどのように管理されているのかを知ることは、健康管理と働き方の見直しに直結します。本記事では、警備員の休憩・仮眠・待機時間の違いや扱い、労働時間との関係性について詳しく解説します。

警備員の勤務スタイルと休憩時間の関係

警備員の勤務形態は多様

警備業務にはさまざまな勤務パターンがあり、それぞれで休憩や仮眠の取り方も異なります。

勤務形態概要
日勤8:00~17:00などの日中勤務。1時間程度の休憩あり。
夜勤17:00~翌8:00など。深夜割増や仮眠時間が含まれる。
24時間勤務(宿直)長時間の拘束で、仮眠・待機時間を含むケースが多い。

日勤の場合は法定の休憩時間(6時間以上勤務で45分以上、8時間以上で60分以上)が与えられるのが一般的です。夜勤や24時間勤務になると、「仮眠」「待機」の考え方が加わり、休憩の扱いが複雑になります。

休憩・仮眠・待機の違いとは?

区分定義と特徴労働時間として扱うか
休憩時間労働義務がなく完全に自由に使える時間(食事・仮眠など)原則として扱わない
仮眠時間夜勤中などにあらかじめ認められている睡眠時間条件により扱う場合あり
待機時間常時対応可能な状態で過ごすが、作業が発生しない時間原則として労働時間

休憩時間とは

労働基準法により、6時間を超える勤務には45分、8時間を超える勤務には60分の休憩を付与する義務があります。この時間は完全に自由が保障されていなければならず、電話番や巡回待機などをしていると「休憩」とは認められません。

仮眠時間とは

宿直や夜勤勤務で設定される「仮眠時間」は、実質的に休憩と似ていますが、「緊急時には対応可能であること」が求められるため、労働時間として計上されるか否かは条件次第です。たとえば、施設内に仮眠室があり、他者に干渉されず休める環境であれば「休憩」と見なされやすくなります。

待機時間とは

巡回の合間など、作業はしていないものの、いつでも業務再開ができる状態で待機している時間は「待機時間」とされ、これは労働時間に含まれます。警備業務ではこの「待機」の時間が非常に多く、実際の作業時間以上に身体への負担がかかることもあります。

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警備員にとっての仮眠時間の重要性

健康維持と事故防止

夜勤中や宿直勤務での仮眠は、心身のリフレッシュだけでなく、集中力と判断力の維持にも不可欠です。仮眠を取らないまま長時間勤務を続けると、判断ミスや反応遅延が起きやすくなり、防犯・防災上のリスクが高まります。

仮眠時間の管理実態

企業によっては仮眠室が整備されており、ベッドや布団、空調、遮光カーテンが設置された環境が用意されています。ただし、勤務中に何度も呼び出されるような現場では、十分に休息が取れないこともあり、「仮眠」として認められにくい場合があります。

休憩・仮眠時間が労働時間に含まれるケース

状況労働時間として扱われるか
完全に業務から解放されている含まれない(休憩時間)
仮眠中でも呼び出し対応が求められる含まれる(労働時間)
待機しながらの休憩(電話・監視などを兼ねる)含まれる(待機時間=労働時間)

労働基準監督署では「形式上の休憩ではなく、実質的な休息が取れるかどうか」が判断基準になります。

警備員自身が意識すべき健康管理ポイント

  • 仮眠中に遮光マスクや耳栓を使って深く眠る工夫をする
  • 待機時間にも軽く体を動かして血行を促す
  • 休憩時間はなるべくスマホではなくリラックスに使う
  • 栄養補給を意識し、食事時間を確保する

過労や睡眠不足は、体調不良だけでなく労災リスクにもつながるため、日頃からの体調管理と休憩の取り方を意識することが求められます。

会社・現場によって異なる休憩制度

警備員の労働環境は配属先によって異なります。例えばビル警備・商業施設・工場・学校などで、休憩時間の取りやすさや仮眠施設の充実度が大きく異なります。

また、大手警備会社では労務管理が比較的整っており、交代制のシフトによって仮眠時間が制度化されていることもあります。逆に小規模の事業所では、休憩が形式的なものにとどまっているケースもあります。

まとめ

警備員の休憩時間、仮眠時間、待機時間は、それぞれ意味と扱いが異なり、法的にも細かいルールがあります。休憩や仮眠が適切に確保されていない現場では、長時間労働による体調不良や事故のリスクが高まります。

働く側としても、自分の勤務条件を正しく把握し、必要であれば改善を求めることが大切です。健康的に働き続けるために、しっかりと休息を取りながら、警備業務に従事していきましょう。