施設警備員の巡回方法とは?効率的な経路の覚え方と注意点を解説

警備員
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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施設警備の基本業務の一つである「巡回」。建物や敷地内をくまなくチェックし、安全を守るために欠かせない業務ですが、初めて担当する警備員にとっては「どう覚えるのか」「効率的な回り方はあるのか」といった不安も多いはずです。本記事では、施設警備員の巡回方法の基本から、巡回経路の覚え方、そして実務上の注意点まで詳しく解説します。

施設警備員の巡回業務とは?

巡回の目的と役割

巡回業務は、施設の安全を維持するための「現地確認業務」です。防犯・防災・設備管理の観点から、異常がないか目視や機器を使って確認します。主な目的は以下の通りです。

  • 不審者の発見・排除
  • 火災や漏水の早期発見
  • 施錠・消灯の確認
  • 設備異常の察知(異音・異臭など)
  • 安全通路の確保や障害物の除去

一見平凡に見える業務でも、日々の積み重ねがトラブルの未然防止に直結する重要な任務です。

巡回の種類

巡回のタイプ特徴と目的
定期巡回あらかじめ決められた時間・ルートに沿って行う巡回
臨時巡回トラブルや要請があった際に臨時で行う巡回
開始・終了巡回勤務の開始時・終了時に行う初期確認または最終確認巡回
特別巡回災害時・イベント時などの特別な警備体制に合わせた巡回

巡回の基本手順とポイント

手順解説
巡回前準備業務日誌や引継書を確認し、特記事項や注意点を把握する
装備の確認無線・懐中電灯・鍵・巡回カードなどを携行しているかチェック
巡回経路の確認巡回ルート図や指示書に従って、順路・所要時間・確認ポイントを確認
巡回中の対応扉や窓の施錠状況、異音、異臭、設備の異常などを五感でチェック
巡回後の記録巡回報告書や端末にて異常の有無や巡回状況を記録

特に夜間巡回では、暗所や静かな場所での変化に気付きやすくなるため、懐中電灯の活用や足音・気配に対する注意力が重要です。

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巡回経路の覚え方とコツ

1. 実際に歩いて体で覚える

最も効果的な方法は「繰り返し歩く」ことです。地図やルート表だけでなく、現場を何度も歩くことで体にルートを染み込ませます。特に「どのドアを曲がるか」「目印になる物はあるか」など、視覚的な特徴を覚えるのがポイントです。

2. セクションごとに分割して覚える

建物全体を一気に覚えるのは難しいため、「A棟→B棟→地下1階→屋上」といったように、区画ごとに分けて把握していくと覚えやすくなります。

3. メモや巡回カードを活用する

初期のうちは要点をメモしたり、持ち歩き可能な簡易マップを作成して携帯すると安心です。巡回ポイントや注意箇所には番号や記号を振ると、視覚的に記憶しやすくなります。

4. 異常の出やすいポイントを重点的に意識する

巡回ルートには、トラブルが発生しやすい「注意ポイント」が存在します(例:機械室、非常階段、通用口など)。これらの場所を重点的に意識することで、効率よく異常を発見できます。

覚え方の工夫実践例
視覚記憶消火器の色や設備の配置を目印にする
動作記憶「3歩進んで左」「階段を上がって右」など動作でルートを記憶
音の記憶特有の音(換気扇の音、機械音)を巡回地点の目安にする
危険地点の記録トラブル経験のあった場所は特に意識して記憶に残すようにする

巡回時に注意すべきこと

巡回中は常に緊張感を持つ

「何も起きない」が当たり前の警備業務ですが、油断は禁物です。日々のルートに慣れてくると見落としがちになるため、「いつ何が起きてもおかしくない」という意識を持って巡回することが重要です。

報告・記録は正確に

異常の有無にかかわらず、巡回後には「記録を残す」ことが求められます。報告の精度が警備の品質を決めるといっても過言ではなく、万が一の際には法的な証拠となる場合もあります。

身の安全にも配慮する

夜間や人通りの少ない場所を巡回する際は、懐中電灯や無線での連絡体制を確認し、自分自身の安全も意識することが必要です。暗所や機械設備周辺では転倒・感電などのリスクもあるため、装備と足元には特に注意を払います。

巡回に向いている人の特徴

  • 観察力があり、些細な変化に気づける人
  • 同じ作業を継続的に丁寧に行える人
  • 危機管理意識が高い人
  • 自分で時間を管理しながら動ける人
  • 体力と集中力を一定時間維持できる人

巡回は地味な作業の繰り返しに見えますが、その中で「異常を発見する目」を持ち、確実に行動できる力が評価されます。

まとめ

施設警備員の巡回業務は、日常の安心・安全を守るために欠かせない基本業務です。巡回ルートを覚えるには、繰り返しの実地経験や工夫が必要ですが、それだけに自分自身のスキルとして身につける価値は大きいと言えるでしょう。

確実なチェックと的確な記録ができる巡回警備員は、現場からも信頼される存在になります。焦らず一歩ずつ、効率的かつ丁寧に巡回業務を身につけていきましょう。