ソーシャルエンジニアリングとは?その意味と代表的な攻撃手口を解説

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監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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パスワードや個人情報を守るため、セキュリティソフトや暗号化技術が進化を続ける中で、今もなお巧妙な情報漏えいが発生しています。その原因の一つが「ソーシャルエンジニアリング」と呼ばれる心理的な手口です。この記事では、ソーシャルエンジニアリングの意味と、よく使われる攻撃の手法、そしてその対策方法をわかりやすく紹介します。

ソーシャルエンジニアリングとは

技術ではなく「人の隙」を狙う攻撃

ソーシャルエンジニアリングとは、人間の心理や行動パターンを利用して、パスワードや社内機密などの情報を不正に入手する行為です。サイバー攻撃と聞くと技術的なハッキングをイメージしがちですが、ソーシャルエンジニアリングは人間の「油断」や「親切心」などに付け込むのが特徴です。

以下のような場面が狙われやすい傾向にあります。

  • 忙しい時間帯での対応ミス
  • 初対面の人への過度な親切心
  • 社内ルールの理解不足

代表的なソーシャルエンジニアリングの手口

攻撃手法内容                                
なりすまし社員や業者を装って電話やメールで機密情報を引き出す手口
ショルダーハッキングパスワード入力時などに背後から覗き見をして情報を盗む行為
ダンプスター・ダイビングゴミ箱に捨てられた書類やメモから機密情報を回収する手法
テールゲーティング入退室時に社員の後ろについて無断で社内に侵入する行為

これらはいずれも、高度な技術を使わずに「人の行動」や「環境の隙」を利用するのが共通点です。


ソーシャルエンジニアリングのリスクと影響

  • パスワードやIDの流出によるシステム不正アクセス
  • 顧客情報や社外秘資料の漏えい
  • 業務停止や信用失墜に直結する損害の発生
  • 社内外からの訴訟リスクやコンプライアンス違反

ソーシャルエンジニアリングは、被害に気付きにくく、情報漏えいが発覚したときには既に大きな損失が発生しているケースも多いです。


ソーシャルエンジニアリングの対策方法

対策方法内容                                
社員教育の徹底なりすましメールや不審な電話に気づけるよう、定期的なセキュリティ研修を実施
情報の物理的管理書類の廃棄ルール、パスワードメモの管理、入退室の監視体制などを明確にする
パスワード管理の強化使い回しを避け、定期変更や複雑な組み合わせを設定する
外部とのやり取りの確認業者や関係者を名乗る人物には必ず社内担当者への確認を行うよう徹底する

人間の心理や行動に付け込む手法だからこそ、システム対策だけでは不十分です。日頃からの意識づけが最大の防御策となります。


企業が注意すべきソーシャルエンジニアリングの兆候

  • 「いつもと違うルート」からの情報要求がある
  • 電話での確認が急ぎで、疑問を挟ませない雰囲気
  • 書類やデータの処分ルールが守られていない
  • 来訪者への確認手続きが曖昧なまま通してしまっている

これらの兆候がある場合、社内での再教育やルール見直しを検討すべきです。


まとめ

ソーシャルエンジニアリングは、どれほど強固なシステムを整えても、「人の油断」によって簡単に突破されてしまう可能性があります。現代のセキュリティ対策においては、社員一人ひとりがリスクを理解し、日常業務の中で警戒心を持つことが重要です。自社の守りを強固にするためにも、今一度、身の回りのセキュリティ意識を見直してみましょう。