標的型攻撃って?仕組みや対策について解説

ウイルス対策
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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企業の機密情報や重要なシステムを狙った「標的型攻撃」は、現代のサイバー脅威の中でも特に深刻な被害をもたらす攻撃手法として注目されています。標的を明確に定めて侵入を試みるため、一般的なウイルス対策だけでは防ぎきれないことも多く、経営リスクにも直結します。この記事では、標的型攻撃の仕組みや種類、そして企業が取るべき対策について詳しく解説します。

標的型攻撃とは?

明確なターゲットを狙って行われるサイバー攻撃

標的型攻撃とは、特定の企業や組織、人物などをターゲットにして情報を盗む、あるいはシステムを破壊することを目的に行われる攻撃です。無差別に広がるマルウェアと違い、事前調査や心理的な誘導なども組み込まれているため、防御が難しいのが特徴です。


標的型攻撃の主な特徴と攻撃の流れ

攻撃ステップ内容
調査SNSやWebサイトなどからターゲット企業の情報を収集
侵入メールや添付ファイルを用いてマルウェアを送付
感染受信者がファイルを開くことで端末が感染
内部拡散感染端末から他の端末・サーバーへ広がる
情報搾取特定のデータを外部へ送信する
長期潜伏発覚しにくい状態で情報収集を継続するケースもあり

標的型攻撃は、技術的な手法だけでなく人の心理も突くため、非常に巧妙です。


標的型攻撃に使われる主な手法

以下のような手法がよく用いられています。

  • 標的型メール(スピアフィッシング)
    実在の取引先や上司を装ったメールを送付し、添付ファイルやリンクからマルウェアを感染させる手法です。
  • 水飲み場型攻撃
    標的がアクセスしそうなWebサイトを改ざんし、訪問者をマルウェアに感染させる方法です。
  • ゼロデイ攻撃
    ソフトウェアの未発見の脆弱性を突いて攻撃する手法で、既存のセキュリティソフトでは検知できないことがあります。

標的型攻撃のリスクと影響

リスク内容被害の可能性
機密情報の漏洩顧客情報、研究開発資料、契約データなどの流出
業務の停止システム障害やデータ改ざんにより業務が不能に
信用の失墜情報漏洩により取引先や顧客の信頼を失う
法的責任個人情報保護法などに基づく制裁や損害賠償リスク

特に近年は、公共機関や医療機関などへの攻撃も増えており、社会的影響が大きい事件も目立ちます。


標的型攻撃への主な対策方法

技術的対策

  • ウイルス対策ソフトの導入と最新状態の維持
  • ファイアウォールや侵入検知システム(IDS)の活用
  • 添付ファイルやリンク付きメールのフィルタリング
  • 脆弱性を修正するパッチの適用を怠らない

組織的・人的対策

  • 全社員へのセキュリティ教育の実施
  • 不審メールを開かないという意識づけ
  • セキュリティポリシーの明文化と運用
  • インシデント発生時の連絡体制や対応マニュアルの整備

実践的に備えるためのポイント

以下は企業が最低限取り組むべき予防策です。

  • すべてのPCに多層防御を施す(エンドポイント保護)
  • 定期的にサイバーセキュリティ訓練を実施する
  • 情報資産の棚卸しと重要データの管理範囲を限定する
  • 定期的なログ監視と不審な挙動の即時報告体制を作る

これらの取り組みを継続することで、攻撃のリスクを大幅に軽減することが可能です。


まとめ

標的型攻撃は、特定の対象を狙って巧妙に仕掛けられるサイバー攻撃であり、情報漏洩や業務停止など深刻な被害を引き起こす可能性があります。従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれない場合もあるため、技術的な対策に加えて、社員一人ひとりの意識改革も不可欠です。万が一に備えた対策を早期に講じ、組織全体でリスクに備えることが、企業の安全と信頼を守るカギとなります。