サイバー保険はいらない?リスクや注意点について解説

ウイルス対策
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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サイバー攻撃による情報漏えいやシステム障害は、今や企業活動にとって身近なリスクとなっています。しかし一方で「サイバー保険は本当に必要なのか?」と疑問に感じる声も少なくありません。本記事では、サイバー保険がカバーする範囲や加入しないことで生じるリスク、注意点について詳しく解説します。

サイバー保険とは何か


情報漏えいなどの被害に備える保険制度

サイバー保険とは、企業がサイバー攻撃や情報漏えいなどの被害を受けた際に、発生する損害や対応費用を補償する保険のことです。

以下のような被害に対応するのが一般的です。

・顧客情報や取引情報の流出による損害賠償
・第三者による不正アクセスやウイルス感染の対応費用
・事故後の調査・復旧作業や広報対応にかかる費用

サイバー保険は、経済的損失をカバーするだけでなく、事故対応の初動をスムーズに進めるためのサポートを含む商品もあります。


サイバー保険はいらないと言われる理由


すべての企業に必要とは限らないという意見も

「サイバー保険は必要ない」という考え方には、以下のような背景があります。

・セキュリティ対策を徹底しているため保険の必要性が低い
・過去にサイバー攻撃の被害を受けたことがない
・保険料が高く、費用対効果に疑問を感じている

しかし、これらの理由が本当に有効なのかは慎重に見極める必要があります。

よくある理由見落としがちなリスク
セキュリティ対策で十分ゼロデイ攻撃など、未知のリスクは常に存在する
これまで被害がなかった攻撃は突然発生し、過去の平穏が未来を保証しない
保険料が高い一度の被害で数百万円〜数千万円の損害もありうる

サイバー保険に加入しないリスク


事故発生時の経済的・信用的ダメージ

保険に加入していない企業がサイバー攻撃の被害に遭った場合、その損害は全額自己負担となります。

以下のような費用が発生するケースが多いです。

・被害調査や復旧に関する外部業者への支払い
・漏えい対象者への補償や見舞金
・信頼回復のための広報対応やシステム強化

場合によっては、企業の存続に関わる損害を被ることもあります。


加入する際の注意点


保険内容と自社のリスクを照らし合わせる

サイバー保険に加入する場合は、補償内容や免責条件をしっかりと確認する必要があります。次の点に注意が必要です。

・自社の業種に合った補償内容かどうか
・補償範囲に復旧費用や広報対応費が含まれているか
・自己負担額(免責金額)が過度に高くないか

また、既存の火災保険や賠償責任保険ではサイバーリスクがカバーされていない場合が多いため、重複や抜け漏れを避けるための確認も不可欠です。


まとめ


サイバー保険は、すべての企業に必須とは言えないものの、万一の被害に備えた重要なリスク対策の一つです。「いらない」と判断する前に、自社のセキュリティ体制、業務内容、保有データの重要性を客観的に見直すことが求められます。

サイバー攻撃はいつ、どこで、どのような形で起こるか予測がつきません。事前対策と保険によるリスク分散の両立が、現代の企業には必要とされています。