ひとり情シスとは?増加する背景とリスク・問題点を徹底解説

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監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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近年、多くの企業で「ひとり情シス(ひとり情システム部門)」という状況が増えています。情報システムの担当者が一人しかいない、または少人数で全社のIT管理を担う体制を指し、特に中小企業で深刻化しています。表面上はコスト削減につながるように見えますが、実際には多くのリスクを抱える構造です。本記事では、ひとり情シスの現状と問題点、そして企業が取るべき対策をわかりやすく解説します。

ひとり情シスとは

「ひとり情シス」とは、企業の情報システム部門(社内IT担当者)が一人だけ、もしくは実質的に一人で運用管理を担っている状態を指します。

中小企業を中心に、社内ネットワークやセキュリティ対策、機器の管理、システムの導入運用までを一人の担当者が対応しているケースが多く見られます。

主な業務内容

  • パソコンやサーバーの管理
  • ネットワーク・セキュリティ対策
  • システム導入・運用サポート
  • 社員からのITサポート対応

つまり、ひとり情シスは「社内のITすべてを担う存在」であり、非常に多岐にわたる責任を背負っています。


ひとり情シスが増えている背景

企業がひとり情シス体制を取るようになった背景には、以下のような要因があります。

コスト削減のための人員抑制

IT担当者を増やすよりも、他部門に人材を配置した方が利益につながるという判断から、情シス部門の人員が最小化される傾向があります。

ITの多様化と中小企業の対応遅れ

クラウドサービスやリモートワークの普及により、IT業務が増加しているにもかかわらず、人員やスキルが追いついていない現状があります。

採用難による専門人材不足

IT人材の市場価値が高まる中で、中小企業では優秀な人材の確保が難しく、結果的に一人の担当者に負担が集中しています。


ひとり情シスの主なリスク

ひとり情シス体制は効率的に見える反面、企業運営において大きなリスクを伴います。

リスク項目内容
属人化情報やノウハウが一人に集中し、引き継ぎが困難
業務過多システム管理・サポートなど多岐にわたる業務を一人で対応
セキュリティリスク専門知識不足により脆弱なセキュリティ対策になりやすい
緊急対応障害発生時に代わりがいないため復旧が遅れる

こうしたリスクは、最悪の場合「業務停止」や「情報漏えい」など、企業の信頼を損なう事態につながるおそれがあります。


ひとり情シスが抱える問題点

属人化による業務停滞

IT関連の情報や設定が担当者の頭の中にしかない状態になると、担当者の不在時に業務がストップするリスクが高まります。

負担の偏りと離職リスク

トラブル対応から新規プロジェクトまで一人で担うため、過重労働や精神的ストレスを感じやすく、離職の原因にもなります。

セキュリティ対策の不十分さ

常に新しい脅威が生まれるサイバー攻撃への対応には、専門知識と継続的な学習が必要です。しかし、ひとり情シスでは時間も余裕も不足しがちです。


ひとり情シスの問題を放置するリスク

ひとり情シスのリスクを放置すると、企業の信頼性や業績に直接影響を及ぼす可能性があります。

企業全体への影響例

  • システム障害が長引き、業務が停止する
  • 情報漏えいにより顧客からの信頼を失う
  • 担当者の離職により、IT運用が一時的に崩壊する

企業規模に関係なく、IT環境が整わなければ業務効率や安全性は確保できません。


ひとり情シス問題を解決するための対策

外部パートナーの活用

ITベンダーや外部の専門会社と連携し、システム運用・保守の一部を委託することで、担当者の負担を軽減できます。

マニュアル化と情報共有の徹底

業務の属人化を防ぐために、設定情報や手順をドキュメント化し、共有フォルダなどで管理することが重要です。

対策方法効果
外部委託・クラウド活用管理負担を軽減し、専門知識を補える
業務マニュアル作成引き継ぎや共有をスムーズにし、属人化を防止
定期的な教育と情報交換最新技術に対応し、セキュリティ強化を図る

これらの取り組みにより、ひとり情シスのリスクを最小限に抑えることが可能です。


まとめ

ひとり情シスは、限られた人員で企業のIT基盤を支える重要な存在です。しかし、その一方で属人化やセキュリティリスク、業務負担といった問題を抱えやすく、放置すれば企業全体に悪影響を及ぼします。

対策としては、外部パートナーとの協力や業務のマニュアル化が効果的です。企業は「ひとり情シスでも安心して働ける環境づくり」を意識し、持続可能なIT運用体制を整えることが求められています。