VPNのセキュリティは大丈夫?想定されるリスクと対策を徹底解説

ウイルス対策
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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テレワークやリモートアクセスが一般化した今、企業のネットワークを安全に利用するためにVPN(Virtual Private Network)を導入するケースが増えています。
しかし、VPNにも脆弱性が存在し、設定ミスや古い機器の使用などによってセキュリティリスクが発生することがあります。
本記事では、VPNのセキュリティリスクとその具体的な原因、さらに安全に利用するための効果的な対策をわかりやすく解説します。

VPNの基本とセキュリティの仕組み

VPNとは、インターネット上に仮想的な専用通信経路(トンネル)を構築し、安全にデータ通信を行う仕組みです。
企業の従業員が自宅や外出先から社内システムにアクセスする際、通信を暗号化して第三者の盗聴や改ざんを防ぎます。

VPNのセキュリティ機能

  • 通信の暗号化:送受信データを暗号化し、外部から内容を見られないようにする。
  • 認証機能:アクセスするユーザーや端末を認証し、不正接続を防止。
  • 安全なトンネル構築:社内ネットワークと外部ネットワークの間に安全な経路を作る。

VPNはセキュリティ対策の要ですが、設定や運用が不十分だと攻撃者に狙われやすくなります。


VPNのセキュリティに潜むリスク

VPNは安全な通信を実現する一方で、運用上のミスや技術的な問題により脆弱性が生じるリスクがあります。

リスクの種類内容想定される被害
設定ミスパスワードやアクセス制御の不備不正アクセス・情報漏えい
ソフトウェアの脆弱性古いVPN機器や未更新のプログラムを利用攻撃者による侵入・遠隔操作
暗号化の不備古い暗号化方式(PPTPなど)を使用通信内容の傍受・改ざん
アカウント情報の流出弱いパスワードや使い回しなりすまし・社内ネットワーク侵入

特に「VPNの設定ミス」や「古い機器の使用」は、実際のサイバー攻撃で多く狙われるポイントです。


想定される具体的なリスク

VPNのセキュリティが不十分な場合、以下のような被害が発生するおそれがあります。

情報漏えい

通信の暗号化が不完全な場合、送受信データが外部から盗み見られる可能性があります。特に、個人情報や取引情報が含まれる場合、企業の信用を大きく損なうことにつながります。

不正アクセス

攻撃者がVPNの脆弱性を悪用し、社内システムに侵入するケースがあります。内部ネットワークに侵入されると、サーバー破壊やランサムウェア感染などの被害が拡大する可能性もあります。

リスク内容被害例
通信傍受公共Wi-Fiなどからの盗聴社外でのリモートアクセス時に情報漏えい
アカウント乗っ取り弱い認証を悪用攻撃者が正規ユーザーになりすまし社内侵入

VPNを導入しているから安心、という油断が最も危険です。定期的な点検と改善が必要です。


VPNのセキュリティを守るための対策

VPNのセキュリティを維持するには、「技術的対策」と「運用面での対策」の両立が重要です。

技術的対策

  • 最新バージョンへのアップデート
    VPN機器やソフトウェアを常に最新状態に保ち、既知の脆弱性を解消します。
  • 強力な暗号化方式の採用
    PPTPなどの古い方式は避け、L2TP/IPsecやOpenVPN、TLS1.3など安全性の高い方式を使用。
  • 多要素認証(MFA)の導入
    パスワードに加えて、ワンタイムコードや生体認証を組み合わせることで不正ログインを防止。

運用面での対策

  • アクセス権限の制御:必要最低限のユーザーだけがVPNを利用できるように設定する。
  • ログ監視の実施:アクセス履歴を定期的に確認し、不審な動きを早期発見。
  • 社員教育の徹底:パスワード管理やVPN利用ルールを周知し、ヒューマンエラーを防ぐ。
対策項目内容効果
ソフト更新最新パッチの適用脆弱性の修正・攻撃防止
MFA導入二段階認証を導入不正ログイン対策
アクセス制限利用ユーザーを限定内部侵入リスクの低減

VPN以外に取り入れたい補助的なセキュリティ対策

VPNを利用していても、他の防御策と組み合わせることで安全性をさらに高められます。

多層防御の考え方

  • UTM(統合脅威管理)の導入
    ウイルス対策・不正侵入検知・フィルタリングをまとめて管理し、VPNの脆弱性を補強。
  • ゼロトラストセキュリティの採用
    「信頼できるネットワークは存在しない」という前提で、常に認証と検証を行う仕組み。

VPN単体では防げない攻撃も、多層的な防御体制を整えることで被害を最小限に抑えられます。


まとめ

VPNは企業にとって重要なセキュリティツールですが、「導入して終わり」ではなく、常に最新の状態に保ち、運用ルールを徹底することが大切です。
特に、ソフトウェア更新の怠りやアクセス制御の甘さは、攻撃者にとって格好の侵入口になります。

定期的な点検・多要素認証・社員教育を組み合わせることで、VPNの安全性を最大限に高めることが可能です。
「VPN=安心」ではなく、「VPNを安全に運用する体制づくり」が真のセキュリティ対策といえるでしょう。