近年、国内外で被害が急増しているサイバー攻撃の一つが「Emotet(エモテット)」です。メールを通じて広がるこのマルウェアは、一度感染すると企業や組織全体に甚大な損害をもたらす危険性があります。本記事では、Emotetの正体と感染後に起こりうる被害について、初心者にもわかりやすく解説します。
Emotetとは?その仕組みと特徴
Emotetとは、もともと銀行口座情報などを盗むために作られたマルウェアで、現在ではさまざまなウイルスを送り込む「拡散の起点」として利用されています。特にメールを介した感染手口が巧妙で、標的型攻撃メールの一種とされるほどです。
項目 | 内容 |
---|---|
感染経路 | 主にメールの添付ファイルやリンク経由 |
主な目的 | 情報の盗難、他のマルウェアの拡散、ネットワーク侵入など |
感染拡大の手法 | アドレス帳情報を悪用し、組織内外にウイルス付きメールを再送信 |
Emotetは一度感染すると、そのPCだけでなく社内ネットワーク全体へと広がる可能性があるため、迅速な対応が求められます。
Emotetに感染するとどうなるのか?
Emotetへの感染は、個人では気づきにくく、発覚した時にはすでに多くの被害が発生しているケースが多いです。以下のような現象が報告されています。
・メールの送受信履歴が盗まれ、関係者へなりすましメールが送信される
・IDやパスワード、社内の機密情報が外部に流出する
・感染後、他のマルウェア(ランサムウェアなど)をダウンロードさせる
被害が広がると、業務の停止、取引先への信用失墜、法的責任など、非常に深刻な問題につながります。
Emotet感染の初期サインとは?
感染初期に現れるサインを見逃さないことが、被害拡大を防ぐ鍵となります。
初期兆候 | 説明 |
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メール送信履歴に心当たりのない送信がある | 自動的にウイルス付きメールが送信されている可能性 |
PCの動作が重くなる | 不審なプログラムがバックグラウンドで動作している可能性あり |
セキュリティソフトの警告 | マクロ付きファイルや異常な通信を検知して警告が出る |
ただし、Emotetはセキュリティソフトの回避能力も高いため、これらの兆候だけでは判断できないこともあります。
Emotetに感染しないためにできること
感染を防ぐためには、技術的な対策と日常的な心がけの両方が必要です。
・不審なメールの添付ファイルは絶対に開かない
・WordやExcelの「マクロを有効にする」を安易にクリックしない
・OSやOfficeソフトを常に最新版に保つ
対策内容 | 効果 |
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メールフィルタ導入 | Emotetを含む不審メールの受信を事前にブロック |
社員教育の徹底 | 攻撃の入り口となるメール開封を防ぐ意識づけが可能になる |
また、感染を想定した「疑似攻撃メール」訓練を定期的に実施することも、有効な対策とされています。
まとめ
Emotetは、見た目には普通のメールに偽装されているため、多くの人が知らぬ間に感染してしまう非常に危険なマルウェアです。感染すると、情報漏洩だけでなく、組織全体の業務停止や信頼失墜といった深刻な影響を及ぼします。日頃からの警戒と、正しいセキュリティ対策を講じることが、自分と会社を守る最善の方法です。