警備員の欠格事由とは?働けない条件と就職前に確認すべきこと

警備員
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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警備員として働くには、法的に定められた「欠格事由」をクリアすることが必須です。過去の経歴や健康状態など、条件を満たさない場合は就業できません。本記事では、警備業法に基づく欠格事由の具体例とその背景、解除の条件までをわかりやすく解説します。

警備員に求められる適性とは

警備業の社会的重要性と法的な基準

警備員は、施設やイベントの安全を確保し、日常の安心を守る職種です。そのため、警備員に求められる資質は、一般的な接客業務や事務職以上に厳しい基準が設けられています。警備業務は「人命」「財産」を直接預かる業務であるため、社会的信頼を損なう可能性のある人物が従事することを防ぐ必要があります。これが「欠格事由」の定めがある背景です。

警備業法では、警備員になれない条件として「欠格事由」を明文化しています。例えば未成年者、破産手続中の者、禁錮以上の刑を受けたばかりの者などが該当します。これらは、警備員としての適正を測る最低限の基準であり、該当している場合は採用自体ができません。


警備員の欠格事由一覧

法律で明確に定められた欠格条件

以下の表は、警備業法第14条に基づく代表的な欠格事由をまとめたものです。これらのいずれかに該当する者は、警備業務に従事することができません。

欠格事由内容
18歳未満成年に達していない者は警備業務に就けません。
破産手続中かつ復権していない者経済的信用が回復していない状態では不適格とされます。
禁錮以上の刑に処され、執行終了または免除から5年以内刑罰の影響が残る期間中は就業できません。
警備業法違反による罰則を受けた者(5年以内)業界の信用維持のために厳しい基準が設けられています。
暴力団関係者またはその疑いがある者公共の安全を害する恐れがあるため不適格です。
薬物・アルコール中毒者判断力が著しく低下し、業務に支障をきたすため除外対象です。
精神・身体の障害で業務が困難と認められる者業務遂行が困難であると判断された場合には従事不可です。

このような条件は、警備業の性質上、ごく自然なルールといえます。万が一、採用後に該当していた事実が判明した場合、警備員としての認定は取り消され、会社に対しても監督官庁より行政指導が入る可能性があります。


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欠格事由の判断基準と確認方法

採用時に必要な証明書と確認プロセス

警備業者が欠格事由に該当する人物を採用しないためには、採用時の適切な書類確認とヒアリングが必要です。本人確認や履歴書に加え、次のような資料の提出が一般的です。

提出書類用途
身分証明書(運転免許証等)本人確認と年齢確認
住民票家族構成と住所の確認(暴力団排除条項の一環)
破産手続に関する証明書(必要に応じて)経済的信頼性の確認
犯罪経歴証明書(警察への申請で取得)刑罰履歴の確認
健康診断書精神・身体の健康状態の確認

これらの資料をもとに、企業は欠格事由への該当の有無を確認します。とくに、刑罰歴や暴力団との関係などは自己申告だけでは確認が難しく、客観的な証明が必要となります。企業によっては警察署へ正式に「身元調査」を依頼するケースもあり、慎重な姿勢が求められています。


欠格事由該当者の将来と再就職の可能性

欠格が解除される条件と実際の流れ

一度欠格事由に該当したからといって、将来にわたって警備員として働けないわけではありません。欠格事由には、期間を経ることで自動的に解除されるものが多く存在します。以下はその代表例です。

欠格解除の条件内容
禁錮以上の刑の執行終了または免除から5年経過時効により自動的に欠格解除
破産者が裁判所より復権を受けた経済的信用が回復すれば再就職可能
薬物・アルコール中毒の治療と診断書医師の診断で回復が確認されれば可能性あり

ただし、これらの解除には必ず書類や証明が必要です。自己判断で「もう大丈夫」と考えていても、それが法的に認められるとは限らず、雇用主や公安委員会が判断の基準を満たす証明が必要です。


就職希望者がすべき準備と注意点

自己管理と誠実な申告を

警備業界への就職を希望する方は、まず自分が欠格事由に該当していないかを客観的に把握することが必要です。これは、単にルールを守るというよりも、雇用主との信頼関係の第一歩でもあります。虚偽の申告や情報の隠蔽は、採用されたとしても後に資格取消の原因となり、本人の社会的信用にも大きな打撃となります。

また、欠格事由に該当しないことが確認できたとしても、警備業は体力や集中力が求められる業種です。日頃からの健康管理、十分な睡眠とバランスの取れた食事、ストレス管理は、職務を安全かつ安定して遂行するために重要です。

将来的に欠格解除を目指す場合でも、早い段階から準備を進めることで、再就職時にスムーズな復帰が可能になります。社会的信用を回復するには時間と努力が必要ですが、法令を順守し、必要な手続きをきちんと行えば、再び警備業に戻る道は閉ざされていません。


まとめ

警備員に求められる資質は非常に高く、欠格事由に該当していないことは、採用の第一条件です。これは業界の信用を守るためでもあり、公共の安全を担う職務の本質でもあります。

欠格事由が一時的なものであれば、一定の手続きと時間を経ることで再びチャンスは訪れます。重要なのは、現状を正しく理解し、誠実に対応することです。警備員を目指すのであれば、法律や社会的ルールを意識した生活を送り、自己管理を徹底することが求められます。信頼される存在として、社会の安全に貢献する警備員になるために、今からできる準備を一つひとつ重ねていきましょう。