機械警備(施設警備の一種)の年収は?仕事内容や昇給の仕組みまで徹底解説

警備員
監修者
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

竹村 直浩をフォローする

警備業界の中でもテクノロジーと連動した「機械警備」は、安定性と収入のバランスが取れた注目の職種です。この記事では、年収の実態、経験による昇給、夜勤や出動の手当など、現場で働く人のリアルな給与事情を具体的に解説します。

機械警備とは何か?施設警備との違いを解説

機械警備とは、防犯センサーや監視カメラ、非常ボタンなどの機械設備を活用し、遠隔から施設の安全を見守る業務を指します。警備員が常駐するのではなく、異常が発生した際に出動することで対応します。これは、従来型の施設警備(常駐型)とは異なる効率的な警備方式であり、都市部を中心に導入が進んでいます。

機械警備の主な勤務形態は、監視センター勤務と出動担当に分かれており、どちらも24時間体制で交代勤務が組まれています。そのため、深夜勤務や緊急対応が多く、冷静な判断力と一定の体力が求められます。一方、利用者との接触機会は少なく、接客スキルよりも状況分析や迅速な対応力が重視される傾向にあります。

以下の表は、施設警備との主な違いをまとめたものです。

比較項目施設警備機械警備
勤務形態常駐型非常駐・出動型
業務内容出入管理、巡回、立哨など異常監視、通報受理、緊急出動
シフト形態日勤・夜勤混在夜間シフト多め
接客対応の有無高い低い
スキル重視接遇・報告書作成機械操作・現場判断力

機械警備は、テクノロジーを活用したスマートな警備体制ともいえ、今後の防犯業務の中核となる可能性が高い領域です。


機械警備の平均年収はいくら?

機械警備の年収は、他の警備業務に比べて比較的高めに設定されている傾向があります。その理由は、夜勤や深夜の出動など、生活時間をずらした勤務形態が含まれているためです。全国平均としては、年収はおおよそ300万円〜400万円が主流で、経験を積むことでさらに上昇していきます。

以下は、雇用形態別に見た年収の目安です。

雇用形態月収目安年収目安
正社員22万〜30万円330万〜450万円
契約社員18万〜24万円270万〜360万円
アルバイト時給1,100円〜年間200万〜250万円

夜勤や出動の回数によっては、月収ベースで数万円の差が生まれることもあります。特に都市部では警備対象施設が多く、頻繁に出動が発生するケースがあるため、同じ基本給でも最終的な年収には大きな差が出る可能性があります。賞与の支給や手当の有無も企業によって異なるため、求人情報は細部まで確認することが重要です。


警備バナー

経験・資格で年収はどう変わる?

機械警備員としての収入は、資格や経験年数によって大きく左右されます。国家資格である「機械警備業務管理者」や「警備員指導教育責任者」の保有者は高く評価され、資格手当が月5,000円〜10,000円支給されるケースもあります。

また、勤務年数が長くなることで現場責任者や管理職への道も開かれ、キャリアアップとともに年収も伸びていきます。以下に、経験年数に応じた年収の目安をまとめました。

経験年数年収目安備考
未経験〜1年280万〜320万円夜勤や休日勤務で増加の余地あり
3年〜5年350万〜420万円現場リーダー昇格可能
5年〜10年400万〜500万円管理職手当+資格手当
10年以上500万円以上本社勤務・エリア統括などへのキャリアアップ可

収入を伸ばすには、日々の勤務を誠実にこなしつつ、必要な資格取得を計画的に進めることが鍵となります。


地域別の年収傾向とその理由

機械警備の年収には地域による差が見られます。都市部では施設数や出動件数が多く、それに伴い夜勤手当や出動手当も充実しています。一方、地方では監視センター勤務が中心となり、出動回数が限られるため収入が控えめになる傾向があります。

地域平均年収備考
東京都350万〜450万円出動回数多く手当加算されやすい
大阪府330万〜420万円都市部に大型施設が多い
福岡県300万〜380万円地域拠点型の勤務が中心
地方都市280万〜340万円管制センター勤務中心、出動件数少なめ

勤務地による年収差は、単に生活費の違いにとどまらず、勤務形態そのものの違いに起因していることを理解しておくとよいでしょう。


夜勤・出動業務が収入に与える影響

機械警備の勤務では、夜間や深夜の対応が多くなります。法律で定められている深夜勤務(22時〜翌5時)には割増賃金が適用されるため、これが収入の底上げ要因になります。また、1回の出動ごとに固定の手当が支給される制度を導入している企業もあり、出動頻度が高い勤務形態ほど収入が伸びる仕組みとなっています。

出動回数が月10回を超えるような場合、手当だけで月収が2万円〜5万円増えることもあります。このような点を踏まえると、実際の年収は基本給+手当によって大きく変動する可能性があるのです。


福利厚生と警備業界の働きやすさ

最近では、警備会社各社が働きやすさの向上に取り組んでいます。福利厚生としては、制服貸与、交通費支給、社会保険完備に加えて、寮の提供や食事補助を行っている企業もあります。特に地方から都市部へ上京する若手にとっては、住居サポートが非常に心強いポイントです。

さらに、研修制度や資格取得支援も充実しており、未経験者が安心してスタートできる環境が整いつつあります。年次有給休暇の取得奨励や、年間休日120日を超えるようなシフト設計も導入されており、働き方改革の恩恵が現場にも波及していると言えるでしょう。


機械警備に向いている人の特徴

この職種に向いているのは、冷静な判断力と責任感を兼ね備えた人です。夜間勤務や突発的な出動にも柔軟に対応できる生活スタイルが求められます。また、顧客対応よりも機械装置の操作や現場での判断力が問われるため、黙々と集中して作業に取り組むことが得意な人にも適しています。

未経験でも応募可能な求人は多く、入社後に研修やOJTを通じて業務を覚える流れが主流です。そのため、未経験からのキャリア形成を考える上で、機械警備は非常にハードルの低いスタートラインとも言えるでしょう。


まとめ

機械警備は、テクノロジーと連動した次世代型の警備業務であり、働く環境・収入・将来性の三拍子がそろった職種です。年収300万円台からのスタートでも、資格取得や経験を積むことで500万円以上が狙える現実的な職業です。地方と都市部での給与差はあるものの、どのエリアでも安定した需要があります。

今後は防犯対策とICTの融合が加速し、機械警備の重要性はますます高まっていくでしょう。安定した職を求める方や、将来性のある現場職を希望する方には、最適な選択肢となるはずです。