警備業に携わるには、まず「現認教育」を受けることが法律で義務づけられています。この記事では、警備員の現認教育とは何か、どのような内容が含まれるのか、またその教育にかかる時間について詳しく解説します。
現認教育とは?その意味と位置づけ
現認教育の定義
現認教育とは、警備業法に基づき、新たに警備員として採用された者に対して実施される基本的な教育のことを指します。警備業務の責任を正しく理解させ、事故やトラブルの未然防止を目的としています。
法律による義務
この教育は法律により義務付けられており、現場に出る前に必ず受ける必要があります。無資格での警備業務は違法行為となるため、雇用する警備会社にも重大な責任があります。
項目 | 内容 |
---|---|
実施対象 | 新たに警備業務に就く者 |
実施義務 | 警備業法第21条に基づき義務化 |
実施者 | 雇用する警備会社または教育機関 |
実施タイミング | 雇用から一定期間内に実施 |
現認教育の目的と重要性
安全・安心を提供するための基礎づくり
警備員は人々の生命や財産を守る重要な職種です。そのため、業務を開始する前に必要な知識と技能を習得させることが欠かせません。現認教育では、心構えから具体的な業務方法、安全衛生まで幅広く網羅されます。
社会的信頼性の担保
適切な教育を受けた警備員が業務にあたることで、利用者やクライアント企業からの信頼を高めることができます。これは警備会社にとっても大きなメリットとなります。
教育時間はどのくらい?現認教育の具体的な時間数
法律で定められた最低時間
警備業法では、現認教育の時間について明確な基準が設けられています。新任警備員に対しては、最低でも20時間の教育を実施する必要があります。
教育内容区分 | 教育時間の目安 |
---|---|
基本教育(共通) | 10時間以上 |
業務別教育(各種業務別) | 10時間以上 |
合計教育時間 | 20時間以上(必須) |
教育は複数日に分けて実施可能
20時間の教育は、1日で行う必要はなく、数日に分けて行うことが可能です。通常は2日間から3日間にわたって実施されるケースが一般的です。
現認教育の主なカリキュラム内容
1. 警備業法の基礎知識
警備員が法に則って業務を行うためには、警備業法に関する理解が不可欠です。特に、正当防衛や緊急避難、立ち入り制限の範囲などについて学びます。
2. 倫理・接遇マナー
社会人としての心構えや、施設利用者への接し方、丁寧な言葉遣いなども教育の一環です。信頼を得るためには、態度・表情・服装などの要素も重要視されます。
3. 具体的な警備技術
施設警備や交通誘導、イベント警備など、それぞれの業務に応じた対応方法を学びます。状況判断や緊急時の対応訓練なども含まれます。
4. 安全衛生・救急対応
勤務中の事故を防ぐための注意点や、火災・災害時の避難誘導、応急処置の基礎知識なども現認教育に組み込まれています。
現認教育修了後のステップ
実務でのOJTと配置前教育
現認教育を修了した後は、実際の現場に配属される前に「配置前教育」やOJT(On the Job Training)として、より現場に即した実践的な指導が行われます。
ステップ | 内容 |
---|---|
現認教育 | 基礎知識の習得、法的義務 |
配置前教育 | 実際の勤務地に応じた教育 |
OJT | 配属後の実務を通じた指導 |
教育未実施によるリスク
現認教育を行わずに警備員を配置すると、警備業法違反となり、事業停止や業務改善命令などの行政処分を受ける可能性があります。また、トラブル発生時に企業としての信頼を損なう重大な結果にもつながります。
まとめ
警備員として現場に立つ前に受ける現認教育は、安全と信頼を確保するための第一歩です。20時間以上の法定教育を受けることで、業務の基礎だけでなく社会的責任を認識することができます。これにより、警備員個人の自信と警備会社全体の信頼性が高まることにもつながります。