警備員として勤務する中で、法令に基づいた「現任教育」の受講は必須とされています。この教育を怠ると、本人だけでなく所属会社にも重大な影響が及ぶ可能性があります。この記事では、現任教育を受けないことによるリスクとその注意点について、わかりやすく解説します。
警備員における現任教育とは?
毎年の受講が義務づけられている法定教育
現任教育とは、警備業法第21条に基づき、現役の警備員が1年に1回以上受けるべき法定の研修です。主に業務の基本動作の再確認、安全管理、法令知識の再習得などを目的としています。
項目 | 内容 |
---|---|
対象者 | 現在業務に就いている全警備員 |
実施回数 | 年1回以上(所属事業者が責任を持って実施) |
教育時間 | 一般警備業務の場合10時間以上(種類により異なる) |
教育内容 | 法令・緊急対応・業務手順・接遇マナーなど |
教育を通して、最新の知識や対応スキルをアップデートすることが求められます。
現任教育を受けないとどうなる?
本人への影響
現任教育を受けていない警備員は、法令違反状態で業務に従事することになり、最悪の場合は現場からの排除や契約解除の対象となることがあります。
影響項目 | 内容 |
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業務従事の制限 | 無教育状態での警備業務は違法となり、勤務が認められない可能性がある |
信用の低下 | 所属企業・現場責任者からの信頼喪失につながりやすい |
再教育の負担 | まとめて受講が必要になり、業務との両立が困難になる場合もある |
また、再就職の際に教育履歴が不十分であることが不利に働くケースも少なくありません。
所属企業への影響
警備員に現任教育を実施していないことは、企業としての法令違反に該当し、公安委員会からの指導や処分の対象となります。
組織への影響項目 | 内容 |
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行政指導・是正命令 | 公安委員会からの改善指導や報告義務が課される可能性がある |
業務停止命令 | 悪質な場合は営業停止処分や認定取消処分を受ける場合もある |
顧客との契約問題 | 教育不備を理由に契約打ち切りや信頼低下が発生しうる |
法令順守は警備業における信頼の基盤であり、教育体制の不備は企業全体の信用に直結します。
現任教育の注意点と実施のポイント
教育時間と内容の確認
警備業務の種類ごとに、定められた教育時間や内容があります。例えば、施設警備では年10時間以上の教育が必要とされており、内容も法律・業務手順・緊急対応・接遇など多岐にわたります。
警備業務の種別 | 必須教育時間 | 教育例 |
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施設警備業務 | 10時間以上 | 巡回業務、安全確認手順、入退室管理法など |
交通誘導警備業務 | 10時間以上 | 道路使用許可、車両誘導方法、標識の使い方、安全装備の使い方 |
貴重品運搬警備業務 | 12時間以上 | 現金輸送車の操作方法、犯罪対策、通報手順など |
教育内容は公安委員会が定めた基準に基づいて実施される必要があります。
教育の実施方法と記録の管理
現任教育は集合形式・OJT形式・Eラーニングなど複数の方法で実施可能です。ただし、実施後は「教育実施記録」を作成し、3年間は保管することが義務付けられています。
教育形態 | 特徴 |
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集合研修 | 座学やグループ演習を通じて知識を共有、理解を深めやすい |
OJT(現場教育) | 実地での指導により、実務に直結した内容を学びやすい |
オンライン教育 | 地方や多拠点勤務の警備員にも対応可能、記録管理が容易 |
教育記録の漏れや不備は監査時の問題になるため、記録管理の徹底が必要です。
まとめ
警備員としての現任教育は、法令で義務づけられているだけでなく、安全で円滑な業務遂行のためにも不可欠な取り組みです。受講を怠ると個人・企業双方に大きなリスクが生じるため、定期的な受講と記録の管理を徹底することが求められます。常に最新の知識を身につけることで、信頼される警備員として活躍し続けることが可能です。