警備員として働くには、求人への応募や研修受講などのプロセスが必要ですが、その際に「身元保証人を2人立ててください」と言われて戸惑う方も少なくありません。なぜ身元保証人が求められるのか、本当に2人必要なのか、用意できない場合はどうすればよいのか。本記事では、その背景や対応策を詳しく解説します。
警備員に身元保証人が求められる理由
信頼性と安全性を担保するための制度
警備員は、人や財産の保護を任される職業であり、社会的責任が非常に重い仕事です。そのため、採用にあたっては「素行が良く、信頼できる人物かどうか」が重視されます。
身元保証人は、その人物の経歴や性格を保証する役割を持ち、「この人は信頼できる」と第三者が証明することで、企業側は安心して採用判断を下すことができます。
理由項目 | 内容 |
---|---|
高い倫理性が求められる職業 | 警備員は顧客の敷地や財物に関わる業務が多く、トラブルが許されない職種である |
事故・トラブル時の対応 | 万が一の損害に備えて、身元保証人が一部責任を負うことがある |
採用判断の基準の一つ | 人物評価や素行確認の一助として活用される |
警備業法における法的な定め
実は「警備業法」において、身元保証人を必ず2人立てることを義務としている条文は存在しません。つまり、法的には絶対に必要というわけではありません。
ただし、警備業法施行規則では、「警備業者は警備員の採用時に、身元調査を行うこと」とされており、多くの警備会社はその手段として「身元保証書の提出」を求めています。
項目 | 法的義務か? | 解説 |
---|---|---|
身元保証人の提出 | 義務ではない | ただし、多くの企業が採用基準として導入している |
身元調査の実施 | 義務(警備業法) | 警備員の信用性を確認する目的で、何らかの形で実施する必要がある |
保証人の人数 | 規定なし | 一般的には2人が望ましいとされているが、1人でも受理される場合もある |
なぜ「2人」が求められるのか?
- 複数の第三者が保証することで、客観的な信頼性が高まる
- 保証人のどちらかが対応できない事態に備えるため
- 会社の内部規定として明文化されているケースが多い
中には、親族1名+友人1名、または両親などの組み合わせで指定している企業もあります。
身元保証人が用意できない場合の対応
状況 | 対応方法・提案 |
---|---|
両親が高齢または他界している | 親族(兄弟・姉妹・叔父叔母)や信頼できる知人を検討する |
友人がいない・疎遠になっている | 前職の上司や同僚に相談してみる |
保証人を立てられる人が誰もいない | 企業に事情を説明し、保証会社の利用や別の方法を相談する |
書面のみで保証するのが不安 | 企業によっては「在籍確認」「面談確認」などの追加対応が可能な場合もある |
重要なのは、無断で保証人を立てずに書類を提出するのではなく、事前に企業側に相談する姿勢です。
身元保証書に記載される内容とは?
項目 | 内容 |
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被保証人の情報 | 警備員本人の氏名・生年月日・住所など |
保証人の情報 | 保証人の氏名・生年月日・住所・職業・関係性など |
保証内容 | 損害発生時の補償範囲や、信義則に基づく監督責任 |
有効期間 | 採用から○年間など、期間を明記するのが一般的(通常は3〜5年程度) |
捺印 | 実印または認印(企業によって異なる) |
企業によっては保証内容を簡素化した「同意書形式」や、電子署名対応のフォーマットを用意している場合もあります。
警備員の仕事における「信頼」の重要性
警備員の仕事は、「防犯」「防災」「案内」「監視」など多岐にわたり、業務中の態度や責任感が求められます。そのため、採用時点で信頼できる人物かどうかを見極めるプロセスは、会社にとって非常に重要です。
身元保証人制度は、そうした信頼を可視化する一つの方法として機能しており、「信用される人材」であることを示す手段ともいえます。
まとめ
警備員として働く際に「身元保証人が2人必要」と言われるのは、多くの警備会社が「信用確認の一環」として導入しているルールであり、法律上の義務ではありません。ただし、警備業という職種の性質上、採用時に身元を確認する仕組みが必要とされているのは確かです。
保証人が用意できない場合でも、企業と相談しながら柔軟に対応することが可能です。まずは正直に状況を説明し、採用担当者と前向きなコミュニケーションを取ることが、就業への近道となるでしょう。